ハリエット・タブマンの指抜き
自らも奴隷の出自を持ち、女性奴隷解放家として活動したハリエット・タブマンが、彼女の同胞奴隷たちのために敷物に刺繍を施したときに使用したとされる指抜き。この指抜きには光を反射させる力があり、男性でも女性でも、はめた人物が選んだ人の姿となることができる。
H.G.ウェルズの感知不能なベスト
本編のH.G.ウェルズ曰く「家宝」で、ロンドンにあるウェルズ博物館の隠し部屋にあった。裸眼では見えない速度で移動できる。強大なエネルギー源を必要とする。発明された時代にはそれほどのエネルギー源は存在しなかったが、現代では反物質がそれに相当するエネルギーを供給できる。
知恵の真珠
対象とする人物の耳に入り、思考と行動を支配できる真珠。悪夢を見るのは真珠が脳に定着したサイン。これを取り外せるのは対象者が死に近い状態になった時だけで、そうなると脳から外れて、耳の穴から転がり出てくる。
エッシャーの部屋
だまし絵で有名なオランダの画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャーの建築不可能な迷宮の絵がそのまま立体的な遺物となった部屋。部屋の中では階段や柱が複雑に動いており、動く巨大迷路と化している。特殊なゴーグルをかけないと視覚するのも難しく、下手すると一生出られない。昔、興味本位で入った捜査官が現在も行方不明となっている。
ラスプーチンの法衣
帝政ロシア末期の祈祷僧で、農民の出でありながら祈祷などでロシア皇帝ニコライ2世に取り入り、怪僧ラスプーチンと恐れられつつ宮廷を牛耳ったあげく暗殺されたグレゴリー・ラスプーチンが着ていた法衣。この法衣を正しく着用すると死人を生き返らせることができる。アーティーがオークションで購入した。倉庫内に漂うエネルギーが亡くなったマクファーソンの残像と結びついてこの法衣を刺激し、死人がよみがえったような現象を作りだした。
アンジェロ・シチリアーノのトランクス
本名アンジェロ・シチリアーノはイタリア生まれ、“チャールズ・アトラス”という名前で有名なボディビルの大家で、ボディビルの理論を構築した。このトランクスを身に着けた者の細胞密度を変えて、強大なパワーを持つことができる。銃弾も跳ね返し、一回のジャンプでビルの上まで飛び上がることもできる。しかし着用し続けると本人もコントロールできないほど質量が増大化して密度が極大化してしまう。着用者の周囲の全てに影響を及ぼすほどの重力場を造ってしまい、ブラックホールのように周囲のものを吸い込む強力な力となる。本編ではこのトランクスはヤードセールに出ていたものを購入していて、開発者及び出自は不明となっている。
ファーンズワースの3Dカメラとプロジェクター
世界初の完全電子式テレビの発明で知られるフィロ・ファーンズワースが発明したとされる3D映写機とカメラ。二つが揃って一組の遺物となり、カメラをパーツA、プロジェクターをパーツBとしてウェアハウス13に保管されることになっていたがプロジェクターが配送中に行方不明となっていた。もともとは3Dホログラフィーを敵に見せて自軍が優位だと思わせるために開発された兵器の一種。電子レンジのマイクロ波がプロジェクターに作用して映画が現実世界に飛び出してしまった。
エクスカリバー
アーサー王伝説に登場する、石に刺さったアーサー王の剣。それを引き抜いた者こそが王の血筋だとされる。ピートとマイカがイギリスはウェールズのカーディフ城で回収。装飾に使われている金属が刺さっていた石と同じもので、触れると剣がすりぬける。
マン・レイのカメラ
シュルレアリスムを追求し多種多様な写真作品を遺した1930年代の著名なカメラマン、マン・レイが所有していたとされるカメラ。若さを奪い、他人に移し替える能力を持つ。2人の被写体を重ね合わせて現像すると瞬時に若さが入れ替わり、現像液を使って時間をずらすこともできる。このカメラで撮影され老化してしまった場合、もう一度現像しないと老化したまま死亡してしまう。
ベンジャミンン・フランクリンの指輪
16世紀のアメリカの物理学者で、凧を用いた実験で雷が電気であることを明らかにしたことで有名なベンジャミン・フランクリンの指輪で、着用者の腕にバイオ電力を増幅させてリングを光らせる。暗闇で物を探すのに便利。
ヴェルトハイマーのゾートロープ
仮現運動の発想をひらめき、思考過程を研究したゲシュタルト心理学者、マックス・ヴェルトハイマーが所有していた回転のぞき絵。覗き込むと人生の走馬灯が見え、精神の移動を可能にする。反転させると元に戻る。ゾートロープが物理的に合致する容器に接続されると、そこに使用者の思考を蓄積する。
バベルの石
この石を手にすると、話している言葉が石を持っていない相手に理解不能になる。石を持っている者同士でならお互いの言葉が理解できる。もともと人は同じ1つの言葉を話していたが、人間が天まで届くような高い塔を作ろうとしたため神の怒りにふれ、神は人間が同じ言葉を話さないようにしてしまったという、旧約聖書「創世記」に記されているバベルの塔の物語にちなむが出自は不明。“第13倉庫”にはスーツケースにこの石が3つ入って保管されている。
ヒューゴ・ワン
“第13倉庫”の設計者ヒューゴ・ミラーにより出現したAI。本人は引退してハッチンソンのサナトリウムに入院しているが。ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズの道を分けたのは彼の影響とされている。
テレグラフ島の電信装置
19世紀オマーンのテレグラフ島で軍隊が使用していた、アンティークのブロンズ製電信装置。当時そこに前哨基地があり、ここに派遣された英国軍兵士はみな、正気を失ったという。この電信装置をたたくと脳波に影響し、潜在的な不安を刺激し、危険な妄想を引き起こす。イリノイ州レイクフィールドの英国歴史博物館に保管されていたが、他の遺物を探しにきたピートがうっかり使用してしまう。
ティモシー・リアリーのメガネ
ハーバード大学でシロシビンやLSDといった幻覚剤による人格変容の研究を行ったアメリカの心理学者ティモシー・リアリーが所有していたメガネ。これをかけると周囲がサイケデリックで退屈しない世界に見え、周囲の人物もまるでアニメーション化されたように見える。
P・T・バーナムのサーカス
後のリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスを設立した19世紀のアメリカの興行師フィニアス・テイラー・バーナムが使った、大衆の驚きをより大きくするための遺物。バーナムは興行で観客を驚かせるために人間の手足や臓器を肥大させてみせた。
ゴッドフリッドのスプーン
8世紀のデンマーク王ハラルド・クラックの息子ゴッドフリッド・ハラルドソンが、戦で死んだバイキング戦士の鎧から作った大きなおたま。ゴッドフリッドの兵士たちが戦うときに使われ、これで汲んだものを体内に入れると、力がみなぎり、筋肉が増強される。しかしこの遺物を使いすぎると筋肉が燃え上がり、体中が炎に巻かれて焼死してしまう。使えば使うだけ死は早まる。
ロバート・ルイス・スティーヴンソンのブックエンド
「ジキル博士とハイド氏」を書いたスコットランド生まれの冒険小説作家、ロバート・スティーヴンソンが所有していた一組の銅製ブックエンド。片方は獅子、片方は鷲の象で、頭部を入れ替えると2体のグリフィンになる。このグリフィンに触れた2人の人格を入れ替える能力があるが、次第に入れ替わりの感覚がせばまり、やがて1人の人間に2人の人格が入るようになると危険が増し、死に至る。鷲の像、獅子の像、それぞれに戻せば、人体の入れ替わりも戻る。強盗が宝石店を荒らした際に消失していた。
マタ・ハリのストッキング
このストッキングを着用した女性は、男性を自分に惚れさせて意のままに操ることができる。フランスのパリを中心に活躍したマレー系オランダ人の踊り子で、第一次世界大戦中に暗躍した世界で最も有名な女スパイ、マタ・ハリ(本名はマルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレ)が所有していたストッキング。第一次世界大戦中に外交官だった男にマタ・ハリが贈り、彼の孫ローレンが見つけて使用した。
ファロスの巨大灯台のレンズ
紀元前3世紀頃にエジプトのアレクサンドリア湾岸のファロス島に建造された灯台で、ファロス島の大灯台の別名もある。紀元前332年、アレクサンドロス3世によって建造されたアレクサンドリアはその後プトレマイオス1世の代に灯台建造を決定し、プトレマイオス2世の時代に完成した。その灯台に使用されていたレンズの欠片は、これを透過させると光の強度がより強くなり、これを見た人はしばらくの間、何も見えなくなってしまう。
トルケマダの伸張拷問台の鎖
15世紀以降、スペイン王の監督の下にスペイン国内で行われた異端審問で異端審問所の長官だったトマス・デ・トルケマダが使用した鎖の一部。この鎖を両手に持って相手に念を送り、この鎖を引っ張ると拷問台の鎖と同じ様に体を裂くような苦痛を与え、骨が関節から外れてしまう。また使う者の魂を蝕み、人間性を奪う。かつてアーティーの手にあったが、ソ連諜報員の手に落ちたもので、“第13倉庫”が探し求めている遺物のリストに載っている。ナイフが発見されたのは1961年に起こった、ある出版社の秘書が2人ガラス化して殺害された事件で、これを捜査したのが当時のウェアハウスの捜査官たちだった。
チャールズ2世のクローケー球
2つで1組の、クローケーの球。クローケーはゲートボールの原型でイギリス発祥の球技。王政復古期ステュアート朝のイングランド、スコットランド、アイルランドの王であったチャールズ2世が使用した球で、負けず嫌いな王の怒りがこもっており、2つが激しくぶつかりあいながら跳ねまくる。当たれば死ぬほど球の威力は強く、自然に止まるまで待つしかない。
タイタニック号の犠牲者が掴まっていた木片
当時世界最悪の海難事故とされ、1912年4月14日の深夜に氷山に接触し、翌日未明にかけて沈没した豪華客船タイタニック号の木片。海に落ちた人々は氷のような海水のため凍死した。木片の先から出る冷気に当たると低体温を誘発して、死に至る。元に戻るには被害者自ら木片をしっかりと掴んで胸に抱き込まねばならない。
H.G.ウェルズのタイムマシン
ヘレナが製作したタイムマシンで、物理的に人間の体を送ることはできないが、意識体を移動させることができるマシン。ウェルズのマシンは意識を過去の人物に宿らせ、人間の意識を利用して、時空を旅する。昔の人の意識を共有する場合もあり、前世の記憶として認識されることもある。移動可能な時間は22時間19分で、意識が宿った人間はその時間の記憶を失う。またその時間内に意識を戻さないと、再びもとの時間軸には戻れない。回収された後、第12倉庫セクションに収納されていた。
シンデレラのガラスのナイフ
差し込むことで物体の化学反応を変え、ガラスにしてしまうナイフ。このナイフに刺された人間は全身がガラス化されてしまう。おそらくグリム童話「シンデレラ」のルーツがここにあると思われ、シンデレラは靴がガラスだったのではなく、彼女がこのナイフで人々をガラスにしていたのではないかと思われる。ナイフが発見されたのは1961年に起こった、ある出版社の秘書が2人ガラス化して殺害された事件で、これを捜査したのが当時の倉庫の捜査官たちだった。
第2倉庫
エジプトのアレキサンドリア、アラム・ナファザの谷にあったが、紀元前31年、ローマが攻めてきた時に中の遺物を移動させる時間がなかったため、倉庫ごと地中に埋めてしまった。時を経て埋めた場所は不明になり、現代の大学生の極秘発掘によって扉が開き、倉庫が目覚めてしまった。侵入者を感知すると「心・体・魂」をテストする罠を起動させ、訓練された捜査官だけが無事に生還することができた。倉庫は“世話人”(Care Taker)と密接に関係しており、当時の世話人が見つからない場合は現代の世話人を探し求めて、その者の脳に影響を及ぼす。
ダイダロスの翼
この翼を身につけると天高く飛ぶ事ができる。ギリシア神話で有名な発明家ダイダロスが、息子のイカロスと塔に幽閉された際に鳥の羽と鑞で人工の翼をつくり、逃亡をはかった。イカロスは太陽に接近しすぎて翼の鑞が溶け、墜落してしまう。逃亡に成功したダイダロスの翼は第2倉庫に保管してあった。
ピッチ湖の天然タール
このタールを撒いて水を入れるとどんな場所も底なしのタール湖になり、足を踏み入れた人を飲み込んでしまう。ピッチ湖はトリニダード・トバゴのトリニダード島ラ・ブレアにある世界最大の天然アスファルト湖で、1595年にイギリスのウォルター・ローリー卿が発見した湖。
リジー・ボーデンのコンパクト
19世紀、マサチューセッツ州で起こった惨殺事件の中心人物となった女性、リジー・アンドリュー・ボーデンが持っていたとされるコンパクト。このコンパクトを覗くと、愛する人を殺したくなってしまう。裁判でリジーは無罪となり、真犯人も見つかっていないが、『リジーは斧で父親を40回殴り、その後継母を41回殴った』、とマザーグースの唄になっている。
ミノアの三叉の矛
史上初の大量破壊兵器として恐れられ、アレクサンドロス大王がこれを封じ込めたことにより第1倉庫が誕生した、いわば倉庫の元凶となった遺物。紀元前15世紀にミノア文明が火山爆発によって壊滅した時に、噴火を引き起こしたとされるのがこの三叉の矛で、アトランティス伝説の元ともなり、またローマがエジプトを攻めた一因も、この矛だったと言われる。3度突き立てると地面が割れ、大地震によって大噴火が起こるとその影響で地球が氷河期になる力を持っている。たいへん危険な遺物のため、鑓と、矛先部分の2つに分けられ、保管されていた。
コルシカのベスト
コルシカ島の双子兄弟が着ていたベストで、これを着た片方が傷を負うと、もう片方が苦しむ。「コルシカの兄弟」はアレクサンドル・デュマの小説を原作にした映画で1941年、ダグラス・フェアバンクス・ジュニア主演で公開された。コルシカ貴族に生まれた双子の兄弟の運命的な物語。
モハメド・アリのグローブ
まるで殴られたようにチカチカした星が飛び回るのが見えるグローブ。オリジナルの所有者は1960年ローマオリンピック・ボクシングライトヘビー級金メダリストで、プロ転向後は無敗で世界ヘビー級王座を獲得、その後3度王座奪取に成功し通算19度の防衛を果たした世界的に有名なボクサーのモハメド・アリ。“第13倉庫”に収納されている。
オリジナルのヤドリギ
その下に立つと、誰かにキスしたくてたまらなくなるヤドリギの枝の束。“第13倉庫”に収納されている。欧米のクリスマスの風習の1つに、ヤドリギの飾りの下で出会った2人はキスしなければいけない、というものがある。
クリスマス休戦の潜水艦オーナメント
ドイツのアンティークで、薬莢で作られた潜水艦型のツリーオーナメント。第一次世界大戦中の1914年のクリスマス・イブ、ベルギーで起こったドイツ軍とイギリス軍の有名な“クリスマス休戦”のエピソードで交換されたと思われる記念品。贈り物に吹き込まれた兵士たちの「クリスマスを家で過ごしたい」という感情がパワーの源となり、クリスマスに、とある奇跡を起こした遺物。